『アリアドネの声』読書レビュー

あ行

著者:井上真偽|おすすめ度:★★★★☆

🌐 スマートシティ×災害×人間ドラマ——極限状況で交錯する命の声

舞台は、IT技術の粋を集めた実験都市「WANOKUNI」。
商業施設・オフィス・インフラのほとんどが地下に集約された、スマートシティの先駆モデル。

そのオープニングセレモニー当日、突如発生した大地震。
地下施設に閉じ込められたのは、県知事の娘でありプロジェクトの象徴的存在・中川博美。
しかも彼女は盲ろう者——「見えない・聞こえない・話せない」三重障害を抱えており、誘導は絶望的。

地下水の流入により、施設は6時間で水没。
火災により救助隊の侵入も不可能。
そんな絶体絶命の状況で、希望の光となるのが災害救助用ドローン「アリアドネ」。

🤖 ドローンが導く“声なき声”の救出劇

アリアドネの操縦を任されたのは、ドローンベンチャー企業に所属する高木春生。
彼は幼い頃、兄を事故で亡くした過去を持ち、その悔恨から災害用ドローンの開発に携わってきた。

ハルオは、兄への想いを胸に、地上からアリアドネを操り、博美の救出に挑む。
“声なき声”をどう受け止め、どう導くか——その過程が胸を打つ。

そして物語のラストには、予期せぬ事実が明らかに…。

📌 まとめ

  • スマートシティを舞台にした近未来型サスペンス
  • 三重障害の少女とドローン操縦士の命をかけた救出劇
  • テクノロジーと人間の可能性が交錯する感動作
  • 分量も軽めで、小学生から大人まで幅広くおすすめ

極限状況の中で描かれるのは、テクノロジーの進化だけではなく、人間の“想い”と“可能性”。
読後には、静かに心が震えるような余韻が残ります。

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