『ババガヤの夜』読書レビュー

あ行

著者:王谷晶
おすすめ度:★★★★★

暴力は、彼女の“言語”だった。

女性の強さをここまで鮮烈に描く小説があるだろうか。
思い込みを叩き壊しながら、物語は加速していく。


シスターハードボイルド小説

けんかが得意で、暴力を趣味とする新道依子。
暴力団相手に大立ち回りを演じるが、数に押されて捕らえられる。

連れていかれたのは関東有数の暴力団・内樹會。
本来なら命はないはずだった。

だが彼女は“腕”を見込まれ、組の一員として生きることになる。

任されたのは、会長が溺愛する一人娘・尚子の運転手兼護衛。

外の世界を知らず、父の支配下で生きる尚子。
強さだけを頼りに生きてきた依子。

交わるはずのなかった二人が出会ったとき、
物語は単なるバイオレンスではなくなる。


鮮烈なアクション、その先にあるもの

読者はきっと、痛快なアクションを期待してページをめくる。
私もそうだった。

確かに、描写は鋭く、まるでアクション映画のようだ。
だがこの作品の真骨頂はそこではない。

読者の思い込みを利用した“仕掛け”。
その裏に隠された真実。

明かされた瞬間、物語は一段階ギアを上げる。
同時に、自分の価値観が静かに揺さぶられる。


まとめ

本書は暴力を軸にしながら、
その奥で人間の弱さと強さを描く物語だ。

騙された心地よさ。
壊される爽快感。

閉塞感のある世界に息苦しさを感じている人ほど、
この一冊は刺さる。

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