『十戒』

夕木春央

著者:夕木春央|おすすめ度:★★★☆☆

『十戒』読書レビュー

著者:夕木春央|おすすめ度:★★★☆☆

🚫 犯人を推理してはいけないミステリー

「犯人を捜してはいけない」——そんな禁忌を課されたクローズドサークル。舞台は、死んだ叔父が所有していた無人島。リゾート開発の視察に訪れた主人公・里英は、島に潜む不穏な影と爆弾の存在を知ることになる。そして翌朝、殺人事件が発生。崖下の死体の横には、犯人からの“十戒”が残されていた。

その十戒には、「3日間は島から出ることを禁ず」「犯人捜しを禁ず」「破れば島ごと爆破」など、異常なルールが記されている。読者もまた、推理を封じられたまま物語に巻き込まれていく。

🔄 『方舟』との対比が面白い

夕木作品といえば『方舟』の衝撃。あちらが「犯人を探さざるを得ない」状況だったのに対し、本作は「犯人を探してはいけない」という真逆の設定。そのギャップが非常に面白く、読者の思考を揺さぶってくる。

もちろん、今回も予想を裏切る展開が待っている。読了後には「そうきたか…!」と唸らされること間違いなし。

👥 キャラクター描写に惜しさあり

ただし、『方舟』と比べると登場人物の個性がやや弱め。物語の構造や設定は斬新でも、キャラクターへの感情移入がしづらい点が惜しい。おすすめ度は★3つとしたが、設定のユニークさと結末のインパクトは十分に読む価値あり。

📌 まとめ

  • クローズドサークル×推理禁止という異色の設定
  • 読者の予想を裏切る展開と緊張感
  • キャラクター描写は控えめだが、構造の妙が光る

『方舟』で夕木さんに手玉に取られた方には、ぜひ読んでほしい一冊。これまでにないミステリーの形を提示してくれる夕木春央さんの、次回作にも期待が高まる。

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