『木挽町のあだ討ち』読書レビュー

な行

仇討ちの真相を追ううちに、
江戸の“生きづらさ”と人の強さが見えてくる。
直木賞・山本周五郎賞を受賞した、痛快な時代劇ミステリー。

著者:永井紗耶子
おすすめ度:★★★★★
読みやすさ:★★★★☆

『木挽町のあだ討ち』あらすじ|悪所に住まう人々が映し出す’あだ’討ちの真相

「睦月晦日の戌の刻。木挽町芝居小屋の裏手にて一件の仇討ちあり。」

年若い武士・菊之助により果たされた仇討ちはその鮮やかさと相まって「木挽町の仇討ち」としてあっという間に市中に知れ渡った。

時は木挽町の仇討ちから2年後。菊之助の縁者・総一郎は参勤交代で江戸を訪ねた際に件の木挽町の仇討ちの話を聞いて周る。

仇討ちの詳しい状況を知るため、総一郎は仇討ちの現場となった木挽町の芝居小屋で働く人々

(木戸芸者・殺陣師・衣装係・小道具係・筋書担当)

から話を聞き、

菊之助の足跡を辿っていく。

『木挽町のあだ討ち』感想|時代の生きづらさを笑い飛ばす痛快な真相

本物語は菊之助が木挽町の仇討ちを達成するところから始まる。

当時悪所と呼ばれ、差別の対象となっていた芝居小屋の人々と侍である菊之助の生き様から江戸時代の生きづらさが見えてくる。

芝居小屋の人々は「悪所の人間」として差別され、

一方で侍もまた身分や体面に縛られて生きている。

それは、現代にも重なる部分があり、登場人物たちの強かな生き方に勇気づけられる。

題名から、侍が敵を討つ王道の時代劇だと思って読み始めた。
しかし本書は、その予想を見事に裏切る。

物語は仇討ちの“後”から始まり、
人々の証言を通して少しずつ真相が浮かび上がってくる。

物語はどこへ向かうのか分からないまま進み、最終的に痛快な真相へと誘われる。

その裏切りは真相の痛快さと相まってとても心地よい読後感となった。

『木挽町のあだ討ち』まとめ

時代小説の面白さとミステリーの構造が見事に組み合わさった作品。

木挽町で起こった仇討ちを果たした菊之助。

悪所である芝居小屋の人々の話からその足跡を追う総一郎。

江戸の生きづらさを吹き飛ばす’あだ’討ちの真相が痛快な物語。

・当時差別されていた芝居小屋の人々の強かな生き様

・特権階級であった侍の時代に縛られた生きづらさ

・それを笑い飛ばす痛快な真相

が本書の見どころ。

直木賞・山本周五郎賞を受賞した時代劇×ミステリー。

・数々のミステリー小説を読破して新しい刺激がほしい人

・あまり本は読まないけど痛快な本が読みたい人

・映画化されて気になっている人

には特におすすめの一冊。

読後の気持ちよさを味わってください。

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