『白魔の檻』読書レビュー

や行

著者:山口未桜|おすすめ度:★★★★☆

🧬 医療×ミステリーのハイブリッド第2弾

デビュー作『禁忌の子』で鮮烈な印象を残した山口未桜さんによるシリーズ第2弾。
舞台は過疎化が進む北海道の山奥にある病院。深い霧に閉ざされたその場所で、硫化水素による不審死が発生する。

さらに追い打ちをかけるように大地震が発生。硫化水素が病院内に流れ込み、医療従事者たちは命を懸けて患者を守ろうとする。
しかし、そんな彼らを嘲笑うかのように、新たな殺人事件が起こる——。

🕵️ 探偵役は“狂気の医師”城崎響介

前作で衝撃的な正体を見せた消化器内科医・城崎響介が、本作でも探偵役として登場。
序盤から“らしさ”全開で、災害に翻弄される周囲をよそに、冷徹に犯人を追い詰めていく姿は圧巻。

まともな感情が欠落しているかのような彼の振る舞いが、物語に独特の緊張感を与えている。

🌍 地域医療への鋭い視点

ただのミステリーでは終わらないのがこのシリーズの魅力。
地域医療が抱える課題や、医療従事者の葛藤が物語の随所に織り込まれており、読後には深い余韻が残る。

描写もさらに研ぎ澄まされ、読者は物語に飲み込まれるように読み進めてしまう。

📌 まとめ

  • 災害と殺人が交錯する緊迫の医療ミステリー
  • 狂気と知性を併せ持つ探偵・城崎響介の魅力
  • 地域医療への問題提起が物語に深みを与える

前作『禁忌の子』を読んだ方には納得の一冊。
未読の方はぜひ前作から読み始めて、城崎響介という“異端の探偵”に魅了されてみてください。

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