いけない

ま行

著者:道尾秀介
おすすめ度:★★★★☆

 2つの市を結ぶ海岸線沿いの道白蝦蟇シーラインその道を南下するときにあらわれる弓投げの崖。その崖を決して見てはいけない。死者の霊にあの世に連れていかれるから。自殺者、死亡事故の多いその崖で起こる事件が描かれる全4編の短編小説。
 すべての4つの事件には物語中では明かされない謎がひとつずつ残されている。その隠された謎を章末に示される写真と文章をヒントに読者自身が解き明かす形になっている。文章中で感じた違和感が章末の写真で解消されたときの爽快感が気持ちよい。
 写真をもとに謎を解く小説の形態も面白いが、何よりも物語全体を覆う不穏さが最後まで解消されない気持ち悪さが癖になる。これぞ道尾さんと感じる小説。
 すべての謎が解き明かされた後の不気味な気持ちを読んだ人と共有したくなる小説。是非本書を手に取り、謎に挑戦してみてください。

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