サピエンス全史 上

著者:ユヴァル・ノア・ハラリ
おすすめ度:★★★★☆

 以前紹介した「人生の経営戦略」でリベラルアーツを学ぶ大切さが語られていたので、積読本の中から本書を発掘。
 狩猟採集時代の人類の祖先から話が始まり、人類がどの時代に何を獲得し今に至るかを根拠をもとに解説してくれている。本書が一般的な歴史書と一線を画するのは一切の人々の思い込みを排除して確認できている根拠をもとに考察をしてくれている部分にある。特に、人類がその時代にどんな認知的な能力や技能を獲得してどのように暮らしていたかを掘り下げられるだけ掘り下げている。
 例えば、私自身は人類は穀類を育てることにより安定的な食料を獲得し、定住することを可能にしてきたと考えてきた。しかし、本書では、狩猟採集時代と農耕が始まってからの生活との比較、子どもの死亡率の急増などのデータをもとに、農耕により人類が豊かさを獲得した事実を否定している。それどころか、人類はそれらの植物に家畜化されたと考察している。
 また、人類がお金や国などの想像上の秩序を共有することができるようになったことが多くの人類同士で協力することを可能にしたと考察している。
 これらの考察が必ずしも正解とは言えないもののそれらの新しい視点を得られ、視野が広くなることだけでも本書を読む価値がある。
 全体的に小難しい書き方がされているので、万人にはおすすめしにくい本ではあるが、ある程度活字を読むのが好きで、新しい考え方を獲得して視野を広げたい人には是非ともおすすめしたい本。
 下巻ではいよいよ近代史に入っていくのでそちらも読むのが楽しみ。
 読みましたらまたブログでご紹介させていただきます。

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