著者:綾辻行人
おすすめ度:★★★☆☆
大学ミステリ研が訪れた十角館の館が建つ孤島・角島。ミステリ研が訪れる半年前、島に住む唯一の家族が変死を遂げていた。一家の主人で青屋敷と十角館を建築した建築家・中村青司は焼死。妻は左手首を切り取られた状態で絞殺される。家族と共に住んでいた使用人は斧で頭を割られており、当日屋敷に来ていた庭師の男は行方不明となっていた。そんな猟奇的な事件のあった島に興味本位で訪れたミステリ研の面々。しかしそこは七人に恨みを持つ人間が用意した殺人現場となっていく。
お話は典型的なクローズドサークルで王道中の王道ミステリー。ミステリー研が登場人物ということもあり、海外ミステリー通の人には細部まで楽しめる内容となっている。しかし、逆に海外ミステリーに精通していない自分としては少し読みづらかった。特に登場人物同士が海外ミステリーの作家名をニックネームに使って呼び合うので、人物を覚えるのに苦労した。
この本の読みどころは犯人だけでなく探偵や主人公が誰なのかが全く分からないままにストーリーが進行していく部分にある。それを知りたいがために読む手が止まらなくなる。館もの特有の秘密も隠されており、ミステリー好きの期待を裏切らない一冊だった。
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