嫌われる勇気

教養

著者:岸見一郎、古賀史健
おすすめ度:★★★★★

 この本が出版されて以来、アドラー心理学ブームが起こり、書店やメディアでたびたび目にしてきた。しかし、そのたびに「なんだかうさんくさい」「理想論すぎる」と感じて敬遠していた。だからこそ、書店でこの本を手に取った自分に驚いた。まさに衝動買いだった。

 読み始めてすぐに思ったのは、「なんでもっと早く読まなかったんだ、もったいない!」ということだった。

 本書は、人生の真理を求める青年と、アドラー心理学を説く哲人との対話形式で進んでいく。青年の疑問や反発を通して、読者自身も自然とアドラー心理学を学んでいける構成になっている。

 アドラー心理学の目的は大きく分けて二つある。行動面では「①自立すること」「②社会と調和すること」。心理面では「①自分には能力があるという意識」「②人々は自分の仲間であるという意識」。これらを達成するために、アドラーは「課題の分離」や「横の関係」の重要性を説く。

 中でも印象的だったのは、「褒めることを否定している」という点だ。教員である自分にとって、これは衝撃的だった。褒めるという行為は、どうしても上下関係を前提としており、恣意的な評価を含んでしまう。もし対等な関係が築けているなら、褒めるのではなく「感謝」を伝えればよい。なるほど、確かにそうかもしれない。これは今後、子どもたちと接するときに心がけていきたい教訓となった。

 本書を通じて感じたのは、アドラーの考え方が他の多くの本の基盤にもなっているということ。たとえば『7つの習慣』や『自分の親に読んでほしかった本』などにも共通する考えが見受けられる。アドラー心理学は、人生をより良く生きるためのヒントが詰まった学問なのだと実感した。

 読み終わった今、少しだけ心が軽くなった気がする。まだ読んでいない方には、ぜひ手に取ってみてほしい一冊です。

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