行動経済学が最強の学問である

著者:相良奈美香
おすすめ度:★★★★☆

 最近よく耳にはするけど正体が分かっていない「行動経済学」のことが体系的に書かれている本。
 行動経済学とは、心理学と経済学を合わせた新しい学問体系。経済学では、人間が合理的に判断を下すことを前提に考えられている。
 しかし、いわずもがな、人間は常に合理的な判断ができるわけではなく非合理に判断を下すことが多々あり、伝統的な経済学では、解明できない部分があった。
 そこで、非合理に判断する人間の心理面を加えるために、経済学に心理学を加えた行動経済学という考えが生み出される。
 本書では、行動経済学を「人間の『非合理な意思決定のメカニズム』を解明する学問」であるとして、行動経済学を「非合理な意思決定」に影響を与える、3つの要素「状況」「感情」「認知のクセ」に分けて一つずつ丁寧に説明されている。
 「システム1」「システム2」の考えや「確証バイアス」「現状維持バイアス」「ナッジ理論」などいろいろな本でつまみ食いしてきた知識が行動経済学を基準にして体系化されたことにより、記憶に定着しやすくかつ利用しやすくなっている。
 本書を読むことにより、自分が判断しているつもりのことも「状況」「感情」「認知のクセ」により判断させられていることに気づき、サービスの提供者にかもられる可能性がぐっと低くなると感じた。
 行動経済学を知るための入門書にもってこいの一冊となっている。

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