著者:外山滋比古
おすすめ度:★★★★☆
本屋さんに昔からおすすめで置かれていることの多い本書。今まで手に取ることもしていなかったが、山口さんの「人生の経営戦略」でリベラルアーツの大切さを感じ、昔から読み継がれている本書を手に取る。
本書では学校教育では知識偏重の学習がなされ、自分で飛ぶ場所を決めることのできないグライダー人間が量産されていることを憂いている。自分で考えてどこにでもいける飛行機人間になるために必要なことが各項目ごとに書かれている。
著者が必要であると考えることをつれづれなるままに書き連ねている感じなので、途中少し迷子になってしまったが、最後まで読むと著者の一貫した主張が分かる。思考の記録法、集約方法、昇華方法など諺や哲学者の言葉、心理学などを引き合いに説明されていて説得力がある。コンピュータと人間との対比にも触れられており、AIの登場に危機感が叫ばれている現代との類似性も感じた。
何よりもすごいと感じたのは本書が1986年に発行されていることである。時代に対する先見性と今日でも十分に使える知識の深さに尊敬の念を抱いた。内容自体は他の本でも語られていることは多いが、他の本を読む前に本書を読み思考についての考え方をしっかりと整理してから他の教養本を読むとより深い学びにつながると感じた。「自分の成長のために何か読みたいけど何から読めばいいか分からない」と感じている人には是非本書をおすすめしたい。
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