著者:今村翔吾
おすすめ度:★★★★★
「塞王の楯」、「イクサガミ 天」と今村さんにはまってしまい、石田三成に焦点を当てた本書に一目ぼれして購入。
賤ケ岳の戦いで一躍名を轟かせた「賤ケ岳七本槍」。若年のころから秀吉のもとで小姓として育った七人の人生の裏側には常に八本目の槍である石田三成の姿があった。
7人の槍の一人一人の人生が一つの章となっており、三成を含めて八人の人生がそれぞれの人生へと交錯していく。三成を描く小説であるのに三成の視点では一切描かれることがない。七人の関係から描かれる三成像であるからこそ、その人間性が立体感をもって浮かび上がってくる。深い部分でつながりあっていた七本槍であったはずなのに道を違えることになった真実に戦国の世の厳しさともの悲しさを感じる。特に虎之助こと加藤清正が自分の描いていた人物像と違っていて新たな発見があった。歴史小説好きにはもちろんあまり読んだことのない方にも読みやすい内容になっているので、歴史小説の入り口としてもおすすめの一冊。
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