著者:アガサ・クリスティー|おすすめ度:★★★★★
🏝️ 孤島に集められた10人、そして誰もいなくなる
舞台は無人の孤島「兵隊島」。
医者、元刑事、体育教師、軍人など、統一感のない10人が島の所有者によって招かれる。
到着早々、館に響き渡るレコードの音声が告げるのは——
10人それぞれが過去に犯した“殺人の罪”。
誰もが罪を否定し、軽く受け流すが、
やがて一人、また一人と命を落としていく。
最初は事故と思われた死も、次第に“見えない殺人者”の存在を確信するようになる。
🧸 童謡になぞらえた死の連鎖
館に飾られた「10人の小さな兵隊さん」の人形と童謡。
その詩に沿うように、一人ずつ消えていく人々と兵隊の人形。
残された者たちは、次第に疑心暗鬼に陥り、
ついには最後の一人となる——。
誰が、なぜ、10人を集めて殺しているのか。
犯人はどこに潜んでいるのか。
その答えは、読者の予想を超える形で明かされる。
📚 クローズドサークルの原点にして頂点
1939年に発表されたとは思えないほど、筆致は古びていない。
老舗ならではの混じりっ気のない設定だからこそ、心理描写と不穏な空気が強調される。
“クローズドサークル”というジャンルの原典にして不朽の名作。
ミステリー好きなら、いつかは必ず読んでおきたい一冊。
孤島の静寂と緊張が、あなたの心をじわじわと侵食していきます。

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