『イン・ザ・メガチャーチ』読書レビュー

あ行

著者:朝井リョウ|おすすめ度:★★★★★

🎤 推しにのめり込む者、のめり込んでいた者、そして生み出す者

かつて音楽業界に身を捧げた久保田憲彦。
時代の変化に取り残され、バックオフィスで孤独を抱える日々。
唯一の他者との接点は、月に一度の大学生の娘とのビデオ通話。

そんな彼に、かつての同僚から突然の電話。
新たなアイドルグループの運営に参加し、ファンダム経済を築いてほしいという依頼だった。

一方、娘の武藤澄香は、留学を志して大学に入学するも、
繊細な性格ゆえに人間関係に悩み、夢にも自信を失っていた。
そんな彼女が、バイト先の同僚の影響であるアイドルに興味を持ち始める。

そして、藤見倫太郎という2.5次元アイドルに熱狂するファン、隅川絢子。
倫太郎の活動休止、そして突然の自殺。
絢子はその死に不審を抱き、真相を追い始める。

🔥 熱狂の先に見えてくる世界とは

物語は、久保田・澄香・絢子の3人の視点で進行。
共通するのは、誰ともつながれない孤独。
その孤独から逃れるために、それぞれが“信じる世界”へと熱狂していく。

そしてその熱狂の先にあるのは——
現代を生きるすべての人間に問いかける、価値観を揺さぶる結末。

📚 朝井リョウが描く、時代の“もやもや”の体系化

『桐島、部活やめるってよ』『正欲』など、
毎回読者の価値観をひっくり返してくれる朝井リョウさん。
本作もまた、時代の空気を文学へと昇華させた一冊。

誰かを推すこと、誰かに推されること、そしてその仕組みを作ること。
そのすべてに潜む孤独と熱狂の本質を、ぜひ味わってください。

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