著者:湊かなえ|おすすめ度:★★★★☆
星を守りたかった宗教2世の物語
文部科学大臣襲撃事件から始まる衝撃の告白
文部科学大臣で作家の清水義之が式典の最中に男に襲撃される。
襲撃したのは永瀬暁。鋭く加工されたペーパーナイフを首元に突き立てられた清水は絶命。
すぐさま逮捕された永瀬は週刊誌に手記を発表する。
宗教2世として苦しんだ過去と、殺人を思い立ったその気持ちを世に発表する。
しかし、永瀬には世に発表していない本当の意図があった。
永瀬は「ただ星を守りたかっただけ。」だった。
首相襲撃事件をテーマにした告発的小説
本作は実際にあった襲撃事件から明らかに影響を受けて作られた小説になっている。
そのため、今までの湊さんの作風とは異なり、いやミス的要素は影を潜めている。
刺激的な描写は控えられ、実際に起こりえたのではないかという世界が湊さんの表現力によって構成されている。
宗教が作り出す光と影の関係。
影の部分に引きずり込まれる宗教2世の物語に固唾を飲んでしまう。
襲撃事件を湊さんの感性を通してみる
これまでの湊さんとは違う路線なので、いやミスを楽しみに本書を読むと肩透かしを喰らう。
しかし、いつの間にか色あせてしまった襲撃事件を湊さんのフィルターを通して再度考察するにはとても良い内容。
事件を他人事として終わらせない。
そんな気概を感じる小説です。

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