『アドラー心理学を実生活に取り入れてみた』

心理学

著者:小泉健一
おすすめ度:★★★☆☆

「嫌われる勇気」は読んだ。感動もした。
しかし、いざ日常に戻ると——
結局、どんな場面でどう使えばいいのか分からない。

本書は、そんな読後の“もやもや”を抱えた人に向けた、
アドラー心理学の実践書である。


アドラー心理学実践本

「嫌われる勇気」で一躍有名になったアドラー心理学。
その理論は、主に次の5つから成り立っている。

自己決定論
 自分のことは自分で決めていくという考え

目的論
 人は過去ではなく、未来の目的に向かって行動しているという考え

全体論
 心と体はひとつで切り離せない。目的に合わせて心と体が反応するという考え

対人関係論
 悩みのすべては人間関係から生じるという考え

認知論
 人は世界を客観的にではなく、自分の見たいように見ているという考え

これらの理論と「勇気づけ」という技法を通して、
最終的に目指すのが共同体感覚である。

本書では、これらの理論に加え、
アドラー心理学の根幹をなす

  • 課題の分離
  • 共同体感覚

を、著者自身の生活場面にどう取り入れてきたのかを、
具体例とともに丁寧に解説している。


「嫌われる勇気」の副読本として最適

「嫌われる勇気」は、哲人と青年の対話を通して、
読者をアドラー心理学の世界へと優しく導いてくれる名著である。

ただ、その世界観に深く共感したとしても、

  • どんな場面で
  • どの理論を
  • どう使えばいいのか

が分からず、立ち止まってしまう人も多いのではないだろうか。

本書は、そうした読者を
「理解者」から「実践者」へと一歩進めてくれるハウツー本である。

「嫌われる勇気で感動はしたけれど、
実生活では何も変わっていない」

そんな人の背中を、静かだが力強く押してくれる一冊だ。


教える立場にあるすべての人に響く本

アドラー心理学は、仕事でもプライベートでも、
教える立場にある人に多くの示唆を与えてくれる。

特に「課題の分離」の考え方は、
教師である私自身のふるまいに大きな影響を与えた。

子どもたちと接していると、
「少しでも多く与えたい」という善意から、
いつの間にか“大きなお世話”を焼いてしまうことがある。

叱ったり、褒めたりを繰り返しながら、
相手を思い通りに動かそうとする。
技能が上がってくると、
それでコントロールできているような錯覚すら生まれる。

しかし、その関係は往々にして上っ面だ。
コントロールが効かなくなった瞬間、
それまで築いてきた関係が崩れてしまうことも少なくない。

「課題を分離」し、
ともに高め合う関係を目指すようになってから、
少しずつではあるが、
お互いが共同体感覚を感じられる場面が増えてきた。

もちろん、その道のりはまだ道半ばである。

だが、教える者と教わる者の間に
主従の関係が生まれてしまっては、
成長の螺旋は生まれない。

そのことに違和感を覚えたことのある人にとって、
本書は十分に一石を投じてくれる内容だと感じた。


まとめ

「嫌われる勇気」に共感しながらも、
実生活への落とし込みに悩んでいる人。

特に、親・上司・先輩・教師など、
誰かを導く立場にある人にとって、
本書は最初の実践書としてちょうどよい一冊である。

コメント

タイトルとURLをコピーしました