『桜葬』|駅ホームにバラバラ遺体を投げ込み、500万円を燃やした男の目的とは

さ行

著者:斎堂琴湖
おすすめ度:★★★☆☆
読みやすさ:★★★☆☆

『桜葬』あらすじ

ホームに投げ込まれたのは、バラバラ遺体だった。

しかも男は、その遺体に火を放ち、さらに500万円もの札束を炎の中へ投げ込む。
そして最後は、自ら電車へ飛び込み命を絶つ――。

あまりにも異様な事件の幕開けに、一気に引き込まれた。

2023年3月12日。
桜が咲くにはまだ早い、肌寒い早春の日。

武蔵浦和駅に現れた杖をついた男は、スーツケースに入っていたバラバラ遺体を線路へ投げ込み、その場で火をつける。

さらに現金500万円を炎へ投げ込み、宙を舞う札束を背に歩き出した男は、やってきた電車へ身を投げた。

なぜこんな事件は起きたのか。
遺体を燃やし、大金まで焼こうとした理由とは何だったのか。

県警捜査一課の刑事・氷室は、男の足取りを追いながら事件の真相へ迫っていく。

『桜葬』感想

衝撃的な導入に惹かれて、思わず手に取った一冊。

「遺体を燃やす」「札束をばらまく」「犯人はその場で自殺する」。
強烈な謎だけを提示したまま物語が始まるため、自然とページをめくる手が止まらなくなる。

捜査自体は派手ではない。
しかし、少しずつ事実を積み上げながら真相へ近づいていく流れが心地よい。

特に、3年前の「爆破予告事件」と現在のバラバラ死体事件が繋がっていく展開は見事。
細かく張られた伏線もテンポよく回収され、ミステリーとしての爽快感もある。

ただ、個人的にはキャラクターへの感情移入がやや難しかった。

終盤では主人公を含めた関係者たちの過去が明かされていくのだが、その背景が妙に現実的で生々しい。
だからこそ強く共感することもできず、かといって完全に突き放して読むこともできずにもやもやする。

真相が明かされても、スッキリはしない。
だけど、事件だけは読後も頭に残り続ける。

そんな不思議な読後感を持った作品だった。

冒頭のインパクトが非常に強かっただけに、最後は少し物足りなさも残ったが、独特の後味を楽しめるミステリーではある。

『桜葬』まとめ

バラバラ遺体を燃やし、500万円をばらまく。

そんな衝撃的な導入で、一気に読者を引き込む警察ミステリー。

本作は斎堂琴湖さんの2作目。
新人作家さんなので、普段同じ作家ばかり読んでいる人にとっては、新しい出会いとなるかもしれない。

特におすすめなのは、

  • 不可解な事件の真相を追うミステリーが好きな人
  • 派手なトリックより“事件の背景”を重視したい人
  • 新しい作家さんの刑事ものが読みたい人

導入のインパクトに惹かれたなら、読む価値ありです。

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