著者:辻村深月
おすすめ度:★★★★☆
読みやすさ:★★★★★
『ファイア・ドーム』あらすじ
北陸地方にあるL県の第二の都市・蒔戸市。
25年前この地方都市を舞台に「L県デパート受付嬢誘拐事件」が発生する。
犯人が自ら出頭したことにより、事件は解決を迎えた。しかし、それは犯人が被害女性を殺害した後であった。
警察の捜査は遅々として進まず、情報公開も後手に回ったことで、人々の憶測は噂となって街中に広がっていく。
その噂は、あろうことか被害者家族を傷つけ、追い詰める内容へと変わっていく。
時が経ち25年後の現在。
再度街を揺るがす事件が起こる。
小学4年生の男子の失踪事件が発生する。
その少年は25年前の被害者女性の甥っ子だった。
「やはりあの家族には何かやましいことがあるに違いない。」
噂の業火が再び街を包み込む。
『ファイア・ドーム』感想
直木賞作家の辻村深月さんが7年かけて完成させた渾身の本格長編ミステリーと銘打つだけあり圧巻の内容。
その作り込みの深さはすごいの一言。
各キャラクターの人物描写が非常に緻密で没入感が高い。
特に教育学部で教員免許を取得している辻村さんが描く小学校の描写はリアリティがあり、教員として働く自分としてはその生々しさに他人事と思えない恐ろしさを感じた。
展開の派手さやどんでん返しで読ませるタイプではなく、地道な取材と人物描写を積み重ねて真実へ迫る作品である。
そこをどうとらえるかによってこの小説の感じ方に差が出る。
私はエンタメ性の高い小説が好みなので★4としましたが、リアリティを追求したミステリーが好きな方なら間違いなく★5を付けたくなる一冊です。
『ファイア・ドーム』まとめ
辻村深月さんが7年かけて完成させた渾身の本格長編ミステリー。
徹底した取材と緻密な構成だからこそ生まれる物語の深みに引き込まれます。
没入感が他の本とは段違いです。
『ファイア・ドーム』は、事件そのものよりも「噂」が人を傷つける恐ろしさを描いた社会派ミステリーです。派手な展開よりもリアリティのある人物描写を楽しみたい方、本格ミステリーが好きな方にはぜひ読んでいただきたい一冊です。

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