著者:中山七里|おすすめ度:★★★★★
🎹 音楽は国境を越えられるのか──シリーズ10作目の挑戦
岬洋介シリーズの第10作目となる本作は、ショパン・コンクールで岬と競い合ったロシア人ピアニスト・ヴァレリーの視点から描かれます。
舞台はウクライナ侵攻直前のロシア。文化的鎖国が進む中、音楽を通じて国境を越えようとする人々の葛藤と希望が描かれます。
🧩 あらすじと見どころ
- モスクワ音楽院の准教授ヴァレリーは、ロシアとウクライナの生徒間の対立に心を痛めていた
- そんな中、岬洋介がロシアでコンサートを開くという情報が舞い込む
- ヴァレリーは岬に学院での演奏を依頼するが、政権寄りの学部長ボリスに却下される
- その夜、ボリスが密室で殺害される──
- 音楽は憎しみを乗り越えられるのか? 岬の奏でるチャイコフスキーが問いかける
🎼 音楽描写が圧巻
中山七里さんの筆致は、音楽に詳しくない読者にも「音が聞こえる」ほどの臨場感を与えてくれます。
本作ではチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番が物語の鍵を握り、読後には必ずその曲を聴きたくなるはず。
(私もCDを購入しました!)
📚 シリーズ未読の方へ
本作はシリーズ10作目ですが、音楽と人間ドラマの融合が魅力の岬洋介シリーズは、ぜひ1作目『さよならドビュッシー』から読んでいただきたいです。
読むごとに好きな曲が増え、CD棚が充実していくこと間違いなし!

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