『マスカレード・ゲーム』読書レビュー|罪と償いを考える

は行

著者:東野圭吾
おすすめ度:★★★★☆
読みやすさ:★★★★★

「もし“軽い刑罰で社会復帰した人間”が次々と殺されたら——。」
東野圭吾が描くのは、罪と報いの“グレーゾーン”だ。

刑罰が軽いとも言われる日本において罪を犯した人間はどう裁かれるべきなのか。
犯罪被害者の心は何により解放されるのか。
犯罪を防ぐためホテル・コンテルシア東京でまたもあのバディが事件を追う

『マスカレード・ゲーム』あらすじ|三度行われる潜入捜査

警視庁で捜査されている三つの殺人事件。

それぞれに捜査が進められるものの解決の糸口はつかめない。

三つの殺人事件に共通するのは、被害者がいずれも過去に人を死なせた“加害者”だったこと。

捜査が難航する中、被害者家族たちが同じホテルに集結するという不自然な動きが浮かび上がる——。

事件の舞台はまたもホテル・コンテルシア東京。

偶然にしてはできすぎている。被害者家族で結託し交換殺人ならぬローテーション殺人を行っていると考え三度潜入捜査を試みることとなった。

『マスカレード・ゲーム』感想|被害者家族は何を持って事件を終わりとするのか

三度目の潜入捜査となる本作。

主人公の新田浩介は順調に出世を果たし係長となっている。

また前作でニューヨークへと旅立った山岸尚美も登場し、今作でもバディとして捜査を進めていくところは前作通り。おなじみの能勢警部も登場し、本作でも名助手の役割を果たす。

ここまでであればマンネリ化しそうなものであるが、三係合同捜査ということで各係長の思惑が捜査に混乱を生み出す。

特に今回初登場となる切れ者女性係長・梓の強引なやり取りが新田・山岸のやり方と真っ向からぶつかり合うやり取りには緊迫感がある。

内からは梓、外からは仮面を被った個性豊かな宿泊客。

内憂外患の状態で捜査を続ける二人。

過去2つの捜査で信頼関係を強固にしているバディのやり取りが軽妙で心地よい。

本作では、被害者家族が容疑者としてあがっているだけに、被害者家族の救済と犯罪者の償いというテーマが根底に流れている。

被害者と加害者のどちらに対しても想像力を働かせられるところに東野さんの見識の深さを感じることができる。

何が正解か分からない問いであるからこそ物語を通して具体的に感じることができるところも本書の見どころのひとつとなっている。

『マスカレード・ゲーム』まとめ

刑事である新田とホテルマンである山岸のバディ第3弾。

過去シリーズを読んでいる方にとっては読んで損の無い一冊。

シリーズファンには満足度が高い一方、初見だとやや人物関係が複雑で読みづらい可能性あり。

とはいえ、潜入捜査という物語としての面白さもありながら、罪の償いと被害者家族の救済が根底に流れている本作は読み応えがありおすすめ。

あなたの正義が試される一冊。

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