『最後の一色』|一色五郎VS細川忠興 丹後をめぐる覇権争い

わ行

著者:和田竜
おすすめ度:★★★★★
読みやすさ:★★★★☆

『最後の一色』あらすじ

時は織田信長全盛期。

天下布武の掛け声のもと織田の軍勢が日本各地へ勢力を広げていた。 

京都北部に位置する丹後の地で怪物が誕生する。

名を一色五郎。

五郎の父一色義員(よしかず)は丹後の覇権をめぐって迫りくる細川家との戦中、味方の裏切りにあい自刃。

家督を17歳の息子である五郎に譲り渡す。

窮地の中で家督を継いだ五郎は、圧倒的な武力と知略を武器に、迫りくる細川軍と渡り合う。 

『最後の一色』感想

和田竜さん待望の最新作。

前作の「村上海賊の娘」も長編大作であったが、こちらもそれに負けず劣らずの長編。

上下巻合わせてかなりのボリュームだが、読む手が止まらない。気づけば一気に読了していた。 

本作の魅力を支えているのは圧倒的な取材量。

物語の随所で史料や文献が示されており、フィクションでありながら強いリアリティを感じる。

その土台があるからこそ、登場人物たちは生き生きと躍動している。 

特に主役である一色五郎の魅力は群を抜いていてあっという間に魅了されてしまった。

タイトルが『最後の一色』である以上、一色家が滅亡することは最初から分かっている。 

武略にも知略にも優れている五郎が、

本当に負けてしまうの?

実は勝ってしまうのでは?

とぎりぎりまで思わせてくれるのはさすが和田さんの技量。

武将として圧倒的な才能を持つ五郎がいたにもかかわらず、一色家は滅亡してしまう。 

読み終えたとき、「なぜこれほどの人物がいて一色家は滅亡したのか」が腑に落ちる。 

一色家を滅亡に追い込んだものとは何だったのか?

その正体が分かると戦国の世の過酷さを知りもの悲しい気持ちになる。

戦国小説では、どうしても勝者の物語に目が向きがちだ。 

しかし戦国時代には、才能がありながら歴史の表舞台から消えた武将も数多くいた。 

そんな武将の最後を看取ることによりこの時代の奥深さをより体感できる小説だった。

『最後の一色』まとめ

敗者側から戦国時代を眺める一冊。

圧倒的な取材量をもとに和田さんが描く戦国時代はエンタメ性を維持しながらもリアル。

勝者ではなく敗者の視点から戦国時代を見てみたい人には特におすすめ。

一色五郎という埋もれた英雄の生き様を、ぜひ見届けてほしい。 

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