著者:若林正恭
おすすめ度:★★★★☆
読みやすさ:★★★☆☆
お笑い芸人オードリー・若林正恭さんが描く青春アメフト小説。スポーツ小説でありながら、「努力が報われない苦しさ」と「居場所を失った高校生の葛藤」が胸に刺さる作品。
『青天』|あらすじ
総大三校アメフト部に所属するアリこと中村昴。
チームは万年2回戦どまりの弱小校。
引退大会となる3年生の春大会で強豪・遼西学園と2回戦で対戦し、完膚なきまでに打ちのめされる。
チームは2年生主体の新体制となり、引退した3年生は大学受験に向けての勉強に打ち込み始める。
そんな大学どころか卒業もままならないアリはアメフトという唯一の居場所がなくなり、不良とつるみ始める。
勉強に打ち込むこともできなければ、不良にもなりきれないアリは後輩の誘いを受けて、3年生では異例の秋大会に参加することとなる。
『青天』|感想
お笑い芸人オードリーの若林さんが描く青春アメフト小説。
様々な場面で差し込まれる斜に構えたつっこみがまるっきり若林さんで終始楽しめる。
高校生の時に感じていたであろう思春期の葛藤が描き出されていて、部活に高校生活を捧げた人なら、思わず共感してしまうはずだ。
強豪のエリートに打ちのめされ、不完全燃焼のまま終わる。そんな経験は、多くの男子高校生が一度は味わう挫折なのかもしれない。
「報われないと分かっているのにそれでも努力を続ける意味とは?」
この問いはスポーツだけでなく、受験や仕事、人間関係にも通じる。青春小説でありながら、大人になった今だからこそ刺さるテーマだった。
そんな哲学的な問いをアリの目線を使って追体験できる。
アメフトの専門用語だったりその当時の男子高校生にしか分からないようなノリが出てくるが、そこに一切の説明が入ってこない。
スピード感があって良いと感じることもできれば、ともすれば、「分かるやつにだけ分かればいい」というような傲慢さも感じる。
そこが少し読みづらい部分にはなるが、そこを気にしなければ物語全体は熱い青春小説。
私はちょうど年代が同じこともあり、共感が多数。
「アリのようにしっかりと燃え尽きることができていたらなー」
と失われた青春を思い出すことができた。
『青天』|まとめ
若林さんが放つ青春アメフト小説。
若林さんのファンなら読んで間違いなし。
体育会系の青春を過ごした人はもちろん、何かに本気で打ち込んだ経験のある人にもおすすめしたい一冊。
あの日に置いてきた青春を取り返しに行きましょう。

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