著者:田内学
おすすめ度:★★★★☆
読みやすさ:★★★★★
『お金の不安という幻想』|内容
「老後2000万円問題」が話題になり、お金がなければ老後を安心して過ごせないという不安が広がっています。
「お金さえあれば、不安は消える」
私たちは、そんな考えにとらわれているのかもしれません。
人口が増加していたこれまでの社会では、「働いて、貯めて、増やす」ことが安心につながっていました。
しかし、人口減少社会に突入した日本では、これまでと同じようにお金を貯めるだけでは解決できない問題が増えています。
本書では、人口減少や物価高、老後資金不足といった問題の背景にある「現実」を見つめながら、お金に対する不安とどう向き合えばいいのかを考えていきます。
『お金の不安という幻想』|感想
「老後2000万円問題」が話題になり、老後に向けてお金を貯めることに日々必死になっている。
そんな中、昨今のインフレによって2000万円という金額も膨らみ、「結局、いくらあれば安心できるのだろう?」と不安になることがあります。
お金がないと、不安は消えない。
けれど、
お金があっても、不安は消えない。
そんな不安から逃れたくて、本書を手に取りました。
本書を読んで印象に残ったのは、お金はあくまで「人から助けを得るための道具」であるという考え方です。
どれだけお金を貯めても、そのお金を使って私たちを支えてくれる「働いてくれる誰か」がいなければ、お金だけでは生活を維持することができません。
不安だからお金を貯める。
しかし、お金を貯めることだけでは、根本的な不安の解決にはならないのです。
本書では、人口減少によって働き手が不足していくことで、将来的にはお金を持っているだけでは解決できない問題が増えていくと指摘されています。
お金で解決しようとしても、そもそも商品やサービスを提供する人が少なくなれば、供給そのものが不足してしまいます。
では、どうすればいいのか。
本書では、
- 消費者としてできること
- 働き手としてできること
- 有権者としてできること
- 保護者としてできること
- 地域の一員としてできること
という、それぞれの立場から私たちにできることを考えています。
その中でも、保護者としてできることとして挙げられている、**「子どもが将来に希望を持てるように耳を傾ける」**という考え方が特に印象に残りました。
教員として働く自分にとっても、とても大切にしたい考え方です。
将来への不安があるからといって、お金だけを貯め続ける。
それだけではなく、少ない労働人口でもお互いが支え合い、幸せに暮らしていける社会をつくっていく。
そのために必要なのは、「協力」することなのではないかと感じました。
お金を貯めることを否定する本ではありません。
むしろ、お金の役割を理解したうえで、**「お金だけに安心を求めなくてもいい」**という視点を与えてくれる本だと思います。
『お金の不安という幻想』|まとめ
お金に不安があり、貯めても貯めても不安が消えない人におすすめの一冊。
お金を貯めることだけが将来の不安を解決する方法だと思っていた人にとっては、視点を変えるきっかけになると思います。
「自分はなぜ、これほどお金がないことを不安に感じるのだろう?」
そんな、言葉にならなかった不安を、本書は言語化してくれます。

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