著者:森博嗣
おすすめ度:★★★☆☆
読みやすさ:★★★☆☆
『すべてがFになる』あらすじ
孤島の研究所で隔離生活を送りながら研究を行う天才工学博士・真賀田四季(まがたしき)。
15年前に両親を殺した罪により、幽閉状態で生活を続ける真賀田四季。
本来人が訪れることのない孤島のハイテク研究所を訪れたN大助教授・犀川創平(さいかわそうへい)と学生・西之園萌絵(にしのぞのもえ)。
訪れたその日に殺人事件が発生。
完璧なセキュリティで真賀田四季以外入ることのできない密室でウェディングドレス姿で両手両足を切断された遺体。
システムにより閉ざされた難攻不落の密室事件に二人が挑む。
『すべてがFになる』感想
『すべてがFになる』最大の魅力は、1996年に書かれたとは思えないほど先進的な世界観です。
孤島の研究所が舞台ということもあり、研究所内には現代にも通用する厳重なセキュリティが張られている。
すべての扉は生体認証により管理され、至る所に監視カメラが配備されている。
研究所に勤める職員は真賀田を含め個別に仕事を進め、会議はウェブ上で行う。
まるで現代のリモートワークを予期したかのような働き方をしている。
主要システムは外界とは切り離されハッキングのリスクはない構造となっている。
そんな中でシステムが謎のエラーを起こして殺人事件が発生する。
事件直前まではカメラの記録もあり人が入り込む余地が無い完璧な密室。
その密室の謎を解くのが本作のメインテーマとなっている。
工学博士である森博嗣さんの知見はさすがの一言。
まさに現代を予見しているかのような世界観。
随所に工学的な話が出てきて小難しい内容になっている。
密室の謎にもシステム論が深く関わってくる。
こうした工学的な考え方を楽しめるかどうかで、本作の面白さは大きく変わると感じた。
私自身も工学部出身で話全体としては面白く夢中で読み進めてしまった。
しかし、肝心の密室トリックについてはシステム論が全開過ぎて一般読者を置き去りにしている感が否めなかった。
それは分かる人にしか分からないだろうといった感じ。
すべての人におすすめできる内容ではなかったので、星は3つ。
だけどシステム論に明るく、それらを駆使したミステリーを読んでみたい方にはまさにうってつけの一冊だと感じた。
『すべてがFになる』まとめ
工学博士の著者が描く理系全開ミステリー。
理系知識や論理的思考を試すミステリーをお探しの方にはドンピシャな一冊。
全10作に及ぶ「S&M」シリーズ第1作目。
未来を予見する森博嗣さんの世界を味わえる作品です。
理系ミステリーだからこそ好き嫌いは分かれるものの、約30年前に描かれたとは思えない先進的な世界観は一読の価値があります。

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