著者:村山由香
おすすめ度:★★★☆☆
直木賞を強く求める作家の物語
本好きなら誰もが一度は耳にする文学賞──直木賞。
その裏側を覗き見できる、リアルで濃密な一冊です。
本作の主人公は人気作家・天羽カイン。
小説を出せば必ずベストセラーとなり、本屋大賞など大小さまざまな賞を受賞してきました。
しかし、彼女にはどうしても手に入らないものがあります。
それが、憧れ続ける直木賞です。
あらすじ
過去に二度、直木賞の候補作となった天羽カイン。
しかし、いずれも受賞には至らず。
世間の評価や売上は十分ながら、直木賞の選考委員には認められない現実に憤りを感じます。
やがて天羽は自己承認欲求の権化となり、直木賞獲得へ執念を燃やします。
その情熱は次第に狂気を帯びていき、、、
直木賞の裏側と創作の現場
著者の村山由香さんは、実際に直木賞受賞経験があります。
その経験を持つからこそ描ける、賞の舞台裏の空気感や緊迫感。
さらに小説作りの過程も細かく描写され、本が出来上がるまでに注ぎ込まれるエネルギーの大きさを実感できます。
感想と評価
執念を燃やす天羽がそれを起爆剤に受賞するか、はたまたその炎に我が身を焼かれることになるのかが気になり一気読みしました。 ただ、主人公・天羽カインの口汚さが私には少々きつく感じられました。 そのため星は3つに留めています。
逆に、そのあたりが気にならない方には、かなり濃密で迫力ある作品になると思います。
こんな人におすすめ
- 直木賞や文学賞の裏側に興味がある人
- 作家の創作過程を覗きたい人
- 執念と狂気が交錯する人間ドラマが好きな人
まとめ
直木賞を渇望する一人の作家の姿を、リアルかつスリリングに描いた一冊。
怖いもの見たさで扉を開けば、その熱量に圧倒されること間違いなしです。
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